水辺は、東京の内臓だ。水辺から街を変えるミズベリング・プロジェクト

2014年8月30日18時06分 アラウンドタウン, 未分類

BOAT PEOPLE Associationによる、外国人を対象とした水辺クルーズ。写真は江戸町ジャンクション下の景色を眺める参加者たち。

「水辺は、東京の内臓だと思う」

この日話を聞いた、ミズベリング・プロジェクト事務局プロデューサーの山名清隆は、東京の水辺が持つ魅力を、そう語った。「ビルと道路に挟まれた高架下の川には、開放的な海外の水辺にはない、混沌とした魅力がある。それが、東京の面白さだ」と。

かつて歌川広重が描いたような、人々の生活の中心に運河があった時代から、工業化による汚染、災害対策などにより、街の隅に追いやられてしまった東京の水辺。その魅力をとらえ直し、世界に誇る水の都をつくろうと立ち上がったのが、2014年3月にスタートしたミズベリング・プロジェクトだ。

「東京五輪が決まって、国も何かしようという動きは出てきています。でもその時に、これまでのように専門家や偉い先生が集まって難しい話をするのではなく、実際に川を使いたがっている人達の話を聞いた方が良いんじゃないかと思って」。
そう話すのは、プロジェクトのメンバーでもある、国土交通省の藤井政人だ。プロジェクトでは、彼のような行政サイドの人間から、建築家、起業家、クリエイター、企業人など、あらゆる領域の人々が集まって、週に一度、水辺を使った様々なアイデアを出し合っている。3月22日に開かれた東京会議では、呼びかけに応じた東京の水辺好きが200人以上集い、一大ブレストを実施。そこでは、水辺に教会を立てて結婚式ができるようにしたい、河川にビーチが欲しい、川の上のホテルを作るといった、多様なアイデアが飛び交った。

東京会議で参加者から出たアイデアマップ
 

とは言え、いくら魅力的なアイデアがあっても、実現できるものばかりではない。水辺は行政が管理するものであり、市民が自由に使えるものではなかったからだ。期待と規制、このジレンマはどう解消すれば良いのだろう?プロデューサーの山名は、こう語る。「水辺で何かやりたいとか、やろうとしている人は沢山います。でも、いざやろうとすると、法律や行政の壁が立ちはだかって、あきらめてしまうことが多い。急に役所に行っても、彼らはうんとは言わないでしょう。だからこそ、全国のやりたい人を集めて、声を増やす必要があるんです。やりたい人を増やさないと、行政は動かないから」。とにかく、難しい話をする前に、やりたいことを言い合う。水辺に対して、何かやろうとしても良いんだ、という空気作りをするのが一歩目だ。

また一方で、そんな規制を自らの行動力で果敢にこじ開けていく人々もいる。たとえば、NPOが主体となって河川に市民の憩いのテラスを作ることに成功した大阪の北浜テラスや、都心の川を泳いで楽しむ目黒川泳ぎ隊の活動など。ミズベリング・プロジェクトが紹介する様々な事例は、水辺を楽しむアイデアが満載だ。

大阪 北浜テラスで楽しむ市民の様子写真提供:北浜水辺協議会
 
 
目黒川泳ぎ隊 活動の様子 提供:みどり東京・温暖化防止プロジェクト
 

ちなみに、外国人の目に東京の水辺はどう映るのだろう?タイムアウト東京の外国人ライターに率直な意見を聞いてみると、彼曰く東京の水辺は、「人工的でSFのよう」だとか。北欧出身の彼は、多摩川のような緑溢れる水辺が好きだというが、都心のコンクリートに囲まれた水辺や、隠れた暗渠の存在にも独特の魅力を感じるという。「渋谷の暗渠が再開発で見えるようになったり、地下に流れる川をめぐるツアーができるようになると面白い」という。ミズベリング・プロジェクトの2人も、これと同じ意見だ。

藤井「僕は、東京の水辺は東京の裏側が見える場所だと思うんです。室外機があったり、休憩中のサラリーマンがぼぉっとしていたり、水際から見る東京には、表に出ない人間臭さがあるような気がして。自然の姿に戻すべきという意見もあるけれど、実はあれも東京の姿。今あるものを楽しむこともできるんじゃないかと」

山名「僕は、パリで行われたという、川辺の古い街並をアーティストがライトアップして、街の人が忘れていた風景を美しく蘇らせたという事例がとても好きで。東京の水辺って、海外のような明るい開放的なものじゃなくて、暗いですよね。だからその暗さを活かして、たとえば神田川沿いをプロジェクションマッピングでライトアップするとかしてみたい」

神田川のプロジェクションマッピング構想イメージ図

次は、国際的なプロジェクトがしてみたいと口を揃える両者だが、事実、9月には米国オレゴン州ポートランド市の訪問団が来日。ミズベリング・プロジェクトとの懇談が予定されており、これをきっかけに様々なプロジェクトがはじまるのだという。ポートランドと言えば、環境に優しい街作りで今世界から最も注目を集める都市のひとつ。市内に川が流れる、同じく水辺の街だ。そのポートランド市が、日本のミズベリング・プロジェクトに興味を持っているというのだ。2つに共通するのは、クリエイティブな街づくりという視点。ルール主導ではなく、市民の主体的なアイデアを起点に都市が変わるという動きは、これまで手つかずだった水辺という、東京の穴場でこそ生まれてくるのかもしれない。

今回話を聞いた2人、山名清隆(左)、藤井政人(右)

川の上のホテル、いいじゃないか。

 

なお、ミズベリング・プロジェクトでは、8月27日〜9月2日まで日本橋三越本店7階Hajimarino caféにて、水辺のレジャーをテーマにしたポップアップストア「ミズベリングストアー月待つ水辺」をオープン中。早速身の回りの水辺ポイントで何かしたくなったら、足を運んでみてはどうだろうか。

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「ミズベリングストアー月待つ水辺」
期間:2014年8月27日(水)〜 9月2日(火)
10時00分〜19時00分
場所:日本橋三越本店本館7階
Hajimarino cafe(はじまりのカフェ)
東京都中央区日本橋室町1-4-1
03-3274-8843

http://hajimarinocafe.jp

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